国道213号線 トンネル3
納屋隧道
なやずいどう   国道213号線
大分県国東市国見町向田
竣工 1974年(昭和49年) 延長 210m

杵築市から走ること1時間弱。やっと次のトンネルが見えてくる。


納屋隧道 国東側坑口
昭和49年製だが、ポータルは近年妙な装飾が施されている。
最近こういうの多いんだが、例えばこのために道路に一時的な交通規制を
かけてでもやるようなことだろうか?僕は懐疑的だ。


このトンネルは比較的新しいわりに「トンネル」ではなく「隧道」となっている。


さて、注目すべきはこのトンネルではない。旧道がちゃんと残っている。



一番上の写真の位置から海側に右折すると… 見えてくる。


旧納屋隧道 国東側坑口
(旧)なやずいどう   国道213号線(旧道)
大分県国東市国見町向田
竣工 1907年(明治40年) 延長 162m

堂々の明治隧道である。
見てくれこの立派なポータル(坑門)

ブロック積みで構成された、いかにも「近代建築のアーチ」って感じだろ?
なんと社団法人土木学会選定の「日本の近代土木遺産2800」に登録されている。(ランクC)

でも近づいちゃダメだぜ。

なぜかって?


塗ったコンクリートに線で「描いてる」だけだから。


…よく出来てるわ

ってか土木学会…


扁額は相変わらず達筆すぎて、しかも木が邪魔して読めない。
廃線隧道のホームページ」のしろ氏は解読し、
ポータル自体は昭和10年2月完成であったと報告している。

ういうときのために高枝切りバサミを車に積んで望んだのだが、さすがに木が大きすぎた…
っつーか、実際使ってたらあからさまに不審者だ



中はちゃんとコンクリートブロック巻きだが、それも坑門付近のみ。
奥は素掘り+モルタル拭きつけの一般的な古隧道。
路面は昭和49年まで現役だっただけあってちゃんと舗装されている。


中の様子。路面付近のモルタルのみが破損しているが
この部分の裏側が透水層と難透水層の境界だからだと思われる。
水が染み出しちゃうから。

しかし様子がおかしい。

向こう側の断面がなんかゆがんでいる。
その理由は通り抜けてみるとわかる。



旧納屋隧道 向田側坑口

なんだこの反対側とのギャップは。
明らかに向こう側造った後に「燃え尽きた」んだろ昔の人!

というのが第一印象のこっち側だが、もしかしたらちゃんと立派な造りだったんだが
災害で崩壊し、応急処置を施したまま現在に至っているのかもしれない。
可能性低いが。


現隧道とのツーショット。


脇にあった記念碑。
何が書いてあるのかほとんど読めないが、大正元年に道路に
関係することを記念して立てられたようだ。
寄付した人の名前が書いてある。


■考察■
国東市国見町において現在国道213号が走っているルート(国道指定は昭和28年)は
明治時代後期までは存在していない。沿岸ルートは南の国東町来浦(くのうら)までであり、
国見方面へは馬車道がここより約2km山側に山越え道として存在していた。

その後現在の国道の原型となる沿岸道が整備されるが、旧納屋隧道は
その早い時期に掘られたものと考えられる。
昭和初期までの道路に関する記念碑は国見町に散在している。

ここから先の国見町内の道路整備史については目下まじめに情報収集中。
21世紀が終わるまでには報告できると思います。

さて次に行きましょう→


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2008.1.15

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