特設ステージNo.7
薩摩街道 三太郎峠 「廃道をゆく2」への道

薩摩街道三太郎峠 佐敷太郎峠の5

■時の旅人■


さて、自分がどのあたりを彷徨っているのかよく分からないまま
目の前にあわられた農道を歩く。



地形図にもカーブの多い道が描かれているのだが、
そのどこを歩いているのかが分からない。重症。

情けない。




振り返ると、稜線にNTTdocomoの基地局が見えた。
峠の向こう側から、「アレが目印なのだ!」とか言って上ってきたけど
それがそもそもの間違いだったわけだ。

基地局が目の前にあるわけだから、ポケットに入っている
携帯電話の電波状況は最強レベル、型落ちの言葉で「バリ3」である。

もしものときはこれで助けを呼べばいいだろうが、
どこに来てもらえばいいのかが分からない。


って、いま書いてて気づいたんだけど、携帯にGPSアプリが入ってた…
現地でこれ使えばよかったんじゃん…


そんなこと現地では全く気が付かず、とりあえず道端に座って
水分補給なんぞしながら、友人に

「江戸時代の道で迷子になった」

と四次元的なメールを送る。

受信したほうもどう反応していいか分からないだろう。


まあ江戸時代の道だろうが先カンブリア時代の道だろうが、
僕が歩いているのは現代であるわけで、

脱出方法ならなんぼでもある。

そのうちのひとつが、


送電鉄塔by九州電力。

江戸道に入るときに確認していたアレである↓




送電鉄塔はもちろん電線を伴っているため、必ず数百mおきに建っている。
で、これは2万5千分の1地形図にもちゃんと記載されるのである。

地形図を見ればこの送電線は峠を越えて明治国道を横切っているため、
この鉄塔を追って山を歩けば佐敷側に抜けることが出来る。余裕余裕。

ということで一番近くに見えている鉄塔へ向かうため、山に入っていった。









こうなった。

何が余裕だバカモノめ。



現在鉄塔の横を通過中。
木が覆いかぶさってきて鉄塔がよく見えない。


あ、こういう散策をされる方で、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、

鉄塔がある限り、必ず







管理用歩道があります。

欠かせない生活インフラ、電力の保守管理のためには
当然といえば当然なんですが。

この管理歩道は2つの鉄塔の兼用であるようだ。
次の鉄塔に向かって伸びている。



歩道も下りに入ったので峠を越えたのだろう。

さっき入山した側には歩道が無かったので、
保守管理は佐敷側の明治国道から入ってくるのだろう。


と、植林地を抜けると、



眼下に今度こそ本当に佐敷地区が見えてきた。
中央の盛土が南九州西回り自動車道芦北ICである。



左手を見てみると、芦北方面に伸びる尾根が見える。
実はあそこを江戸道が走っている。

ずいぶんルートを外れてしまった。





鉄塔管理道路は、ほどなく舗装路に出た。
ここが本来目的としていた「峠の向こうの農道」だ。

現世に帰ってきた。




■佐敷太郎峠佐敷側■

では佐敷太郎峠であろうところに行ってみよう。




はっきりとはわからないのだが、この辺が佐敷太郎峠の
江戸道通過地点だと思うのだが、例の道標が無い。
困った。



佐敷方面を望む。

佐敷太郎峠の稜線から分岐した尾根が佐敷方面に伸びる。

こういう感じの尾根を「垂れ尾(たれお)」と読んだことから、
この辺では峠のことを「太郎」と呼ぶようになったという説もある。
この尾根を江戸道は稜線に沿って下っているはず。


で、

残念ながらこの先の江戸道は探索していない。


というのが、途中が明治道でも見た採石場の所有地となっているため、
ウォーキングイベントのような許可を取った時でないと通り抜け出来ないのだ。


田浦側の登り口にも書いてあった。

これはみなさんも守ってください。残念ですが。
いつかイベントに参加しよう。




とりあえず農道を戻る。
佐敷太郎峠稜線に沿って西に向かう。




しばらく行くと明治国道で見たあの建物が見えてくる。




ここで明治国道合流。ちょうど佐敷隧道の南側坑口前に出てくる。


とりあえず徒歩で佐敷太郎峠を越えたことにはなる。んだろう。


あとは出発地点に停めてきた車まで戻る。

明治国道を通って。
何kmあるか分からんが。


で、ふと道路脇を見ると、



自転車発見!


まあお分かりでしょう、明治国道見た帰りにここに下ろしておいたのです。
峠越え散策の基本だね。

自転車にまたがり、明治国道を快速で戻る。

ただし装備していた照明が貧弱だったため、
真っ暗な佐敷隧道の壁に激突しかけた。

マジで照明つけてくれませんか佐敷隧道。



佐敷太郎峠江戸街道、田浦側分岐点

車は無事だった。
デジカメのタイムスタンプ見たら、1時間半くらいで峠を越えて
ここに帰ってきたようだ。

そんなもんだったかなあ…
大冒険した感覚なんだが。


車に自転車を分解して放り込み、僕は再び峠を越え佐敷地区に下りた。

少しでもこっち方面の江戸街道を紹介しよう。





薩摩街道佐敷太郎峠 佐敷側登り口

ここは佐敷地区の東にある登り口。

例の「垂れ尾」を降りてくるとここに出てくる。



現在地




歴史街道として文化財的整備が進み、ここが薩摩街道であることを示している。




この道を登っていけば峠に達するようだ。




丁寧な地図が示されている。
田浦まで約2.3kmと書かれているが、これは峠までの距離だろうか。
直線距離で峠の向こうの国道合流地点まで3kmあるもんなあ。

途中、「七本松峠」なる文字も。
なぜ、左側(東側)の谷を登らずに、尾根を通っているのだろう。

とりあえず、普段行ける江戸街道の芦北側はこんな感じです。




なかなかに険しい、そして迷い倒した佐敷太郎峠でした。



例によって北からの鳥瞰図を最後に。




佐敷太郎峠踏破!!

(ということにしておいてください)




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2011.11.5.


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