国東半島巡り 香々地町1
第一大高島隧道(仮称)


今回この地を訪れたのには訳がある。
いつものように古地図を眺めていた時、とある海岸線に目が行った。

高島地区はこのあたりにしてはイレギュラーで、尾根ではなく谷の真ん中に行政界がある。

で、下の地図、既に隣の香々地町に入っているが、そこから海岸沿いに
西へ向かうルートに隧道マークが2つあった。

初めて地図に現れるのは僕の手持ちの古地図では昭和26年のもの以降。
昭和2年には載っておらず、昭和47年にはまだ載っている。
おそらく昭和初期の建造であろう。


昭和26年測量 国土地理院発行五万分の一地形図「姫島」

ちなみに下が現在の地図。海岸線は改良を受けて立派な?道路になっている。
こんなところに隧道があったなんて知らなかった。

国土地理院発行 現在の2万5千分の1地形図 「竹田津」

そして、地元に帰る準備をしていた時、四国の学生服のヤマダ氏より
同地点の指摘をメールにていただく。彼も気がついていたようだ。

しかしなんで四国に住んでいて、九州のこんな僻地の地形図を見て、
さらにその中から「古隧道」を探し出せるのだろうか。
彼の情報量はハンパではなく、全国の廃道者に調査指令とも言えるメールを
地形図添付のもと送付していると、先般の「日本の廃道」で紹介されていた。
まさに廃道界のエンリケ航海王子(※1)。グレートだ。
ヤマダさん、お待たせしました。調査結果です。

さて、その隧道がまだあるのかどうか?
地図を見る限り、道路は拡幅されていると思われ、場合によっては
隧道も開削されているのだろうと思われた。

むしろその可能性しかないと思っていた。

しかしそんな僕を出迎えたのが小高島隧道である。
尾根の先の海岸側を埋め立てて新道は設けられており、隧道は残っていた。

小高島隧道(仮称) 右手が海側

もしも大高島側でも同様の改良が行われたのであれば、古隧道は残っている可能性が大きい。

しかもこの海岸ルート、実はいまを遡ること100年以上前、
脚光を浴びるはずの道だったことが後の調査で判った。
大事なことなので覚えておいてください。


目的の道路がある岬が湾を隔てて見えている。
いざ行かん。


ということで大高島地区を抜け、高島港にやってきた。

道路は…

埋め立てて拡幅されている!

これはいけるんじゃないか!?





スポーン。





あっけなさすぎだろオイ!







第一大高島隧道(仮称) 国見側坑口
だいいちおおたかしまずいどう(仮称) 豊後高田市道
大分県豊後高田市大高島(旧制香々地町大高島)
竣工 おそらく昭和初期 延長 未計測

まったく… 探す手間が省けたぜ…

面白くないけど。

そこには素掘りの隧道が道路わきにたたずんでいた。
名称等まったく不明なのでとりあえず「第一」と連番をふっておく。



中にはなにやら竹とペットボトルを組み合わせた物体が…
どうやら「イカダ」の格納庫として現在活躍しているようだ。

このイカダ、他の地区から来た人、何がなにやらワケわからんと思う。

かつて国見町では有志によって、対岸の姫島までイカダで渡りそのタイムを競う、
その名も「くにみ姫島国際イカダレース」が盛大に開かれていた。
現在もやっているのか、果たして国際的なチームの参加があったのか、詳しくは知らない。
おかげで現在国見町各地の港に当時の夢の跡が放置されている。

閑話休題。


振り返ると、なかなか大きな隧道だ。車も通れたであろう。
落石等もなく保存状態もいい。

イカダの格納庫、漁具の倉庫としてはもってこいだ。



しかし、いくら誰も通らないからって、コタツまで捨てていくこたあないだろ…
あと、家具とか建設廃材とか。もうなんでもあり状態の第一隧道。



出口まで来て振り返ってみる。
砂が壁から落ちてたまっているだけで、これだけ落石の無い隧道も珍しい。



第一大高島隧道(仮称) 香々地側坑口

昔の道であったであろう場所は埋め立てにより荒地になっている。
何を思い、この荒地をコタツを担いで通ったのだろうか。


国土地理院発行 2万5千分の1地形図 「竹田津」

ということで、一つ目の隧道は生存を確認。



香々地側を望めば、こちらも海岸を埋め立てているようである。
これは行けるんじゃない?


つづく→

※1:エンリケ航海王子(1394-1460)

 ポルトガルの王子。探検事業家として、多くの探検家を資金面他で
 支援し、また航海学校を開設するなど初期の大航海時代の礎を築いた。

 一説には本人は「船酔い」がひどく、航海には出なかったとされる。
 実は管理人はまったく同じ理由で家業(漁業)を継ぐことを断念している。

 誤解なきよう、ヤマダ氏はご自身も探索をされます。
  

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2008.6.2

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