特設ステージNo.6
熊野隧道

熊野隧道の記憶 その2
■2010年先頭打者ホームラン■


さて、新城山香線を走り、熊野地区への分岐点にやってきた。

確かに大きくオープンカットされている。
過去ここに隧道があったのなら、既に消滅していると考えるのが自然だ。
しかし実はこの右上に眠っているのだ。

BOW氏とも合流し、軽く挨拶を交わした後、問題の地点に案内していただく。
氏はまだこの県道が改良される前、旧隧道を通っていたと言う。
20年ほど前の話。

とりあえず熊野側はヤブがひどいので南の山香側から行くことに。



現在の県道は大きく掘り下げられて建設されている。
異常に高い法面がそれを物語る。

で、昔の道はこの右上にあったんですと。
写真奥の標識が先ほどの分岐点だ。


登ってみると確かに路盤跡とおぼしき平場があり、写真中央左に
旧路肩と思われるブロックも見えている。

しかし、



この有り様である。



「…じゃ、僕が先に行きます。」

と半ば投げやりに歩き始めると、


こんな感じである。


ちょ、ちょっと待ってくれ。
現道オープンカット脇に残っているって言うから、



国東市国見町 啝ノ浦隧道
↑こんなのを想像していたのに…


正月から何をやってるんだオレは…


「こっちですよこっち。」
BOW氏に促される方向を向いてみると、なにやら岩肌が見えた。

奥のほうになにか崖のような岩肌が見えた。


「あ〜、崩れとるなあ。」とBOW氏が言う。


この岩肌は隧道坑口が崩れ落ちた跡だったのだ。

ここが熊野隧道山香側坑口の跡である。
いつ竣工し、いつ廃道になったのか正確にはまだ把握していない。

しかし、確かにここにかつて隧道が口を開けており、
人々が通っていたのだ。





とりあえず崩壊地に近づいてみた。















ドーン!

熊野隧道 山香側坑口


「わっはっはっは!」
「開いてますよぉ〜w」

僕はなぜか自然に湧き出した笑いでBOW氏を振り返る。


正月からエライもん見つけちゃったよ。

そこには崩れ落ちながらもかろうじて残った穴が。
崩落土が天井付近まで堆積している。





しかも覗き込んでみると、前髪が逆立つほど風がビュービュー吹き出している。

「貫通してますねコレ。」

写真には写らなかったが、奥にかつての路盤も見えている。

しかしこの崩壊地。
人ひとりはかろうじて通れそうだ。


と言うことで



入ってみる。

が、多亀裂質の火山岩が崩落したもんだから、
降りていく斜面はガレ場状態。
しかも隧道の天井付近から降りる形になるので高さは3m程ある。
転げ落ちたら上がるのに一苦労だ。

しかもこの先がどうなっているかわからない。
言うまでも無いが僕は暗闇が大嫌いだ

どんな魑魅魍魎が潜んでいるかもわからない穴にはちょっと入れない。
ちょっと妄想過多におちいりながら這い出す。

BOW氏「ロープもってくればよかったなあ。」

「そうですねえ。」とは言ったが、冷静に考えてそういう問題ではない。


反対側に回ろう。



こちらは熊野へ向かう市道のオープンカットから登っていく道がある。



入り口こそイバラの攻撃を受けたが、昔の路盤の高さまで登れば
比較的楽に歩けた。



道があったと知らなければただのヤブ。

向こうに見える現県道の法面に施工された枠工がダイナミックだ。


平場の端のほうに、ブロック積みが残っていた。
BOW氏も「ああ、これがこっちに繋がってて…」と、かつてを思い出しながら言う。
かつての道路だ。






その先には尾根に向かってさらに平場が続く。
目の高さにある笹をよけながら歩いていくと、




尾根に突き当たった。

しかも先ほどと同じような崖が見えている。

こっちも潰れているんだろうか。
しかし山香側ではすごい風が吹いていたので、あるいは。


崖のほうへ登ってみると…





熊野隧道 熊野側坑口





熊野隧道。











かろうじて貫通しております。



覗き込んでみると、




こちらはトンネル内の路盤が見えた。

ただし降りていくには、やはり我々には装備が乏しい。
あと、気持ち的にも。

でも、

スゲー!マジスゲー!

僕は何度もBOW氏にお礼を言った。

こんなとこ、一人じゃ絶対に見つけられない。



2009年ゴールデンウイークのOFFで見つけた
「深江隧道」が最後の廃隧道だと僕は思っていた。



しかし忘れてはいけなかった。



ここは国東半島だ。

その底力は住んでいるものにもわからない。



さて、素性を暴いていこう→



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2010.1.10


熊野隧道の記憶その3
熊野隧道の記憶その3
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