大分県玖珠郡探検隊 トンネル6
引治トンネル
ひきじとんねる 国道387号線
大分県玖珠郡九重町引治
改修 1982年(昭和57年) 延長 84m

ここは船ヶ迫隧道の西側、玖珠川の南に位置する引治トンネル。
国道387号線のトンネルだ。

国土地理院発行 2万5千分の1地形図 「豊後中村」

この何の変哲もないトンネル。ここに、とある情報があった。

「隧道は過去の地形図のほうが短く描かれている」

我々隧道野郎が心ときめく、「現トンネルの上に古隧道」パターンか!
と勝手に妄想。

うきうきしながら現場に行くも、現トンネルでさえあからさまに土被りが薄い。

引治トンネル 玖珠側坑口
この上に隧道がある…のか?


どうも隧道があるような雰囲気ではないが、まずたれぞ〜氏、躊躇なく右側のヤブに突入。
そこまで元気のないチョメ氏・TEC、左側に旧道を求める。

いずれも失敗。何もない。

もっともクレバーだったのがtaihei氏。早々に地元聞き込みに入る。

答え「昔のトンネルが改修されたよ。」
残念。

しかもtaihei氏は、丸塚隧道ほか、エキサイト続きの今日の探検の
ラストを飾るべく、とても素敵な、そして貴重な情報を得て戻ってきた。





時は1937年(昭和12年)、この地に国鉄路線が誕生した。
その路線は久大本線恵良駅から分岐し、玖珠郡を一路南下。
県境を越して、熊本県小国町の肥後小国駅まで通じた。
駅の数わずか5駅。延長26.6km。

1984年(昭和59年)、全線が廃止となった…





大分県玖珠郡探検隊 ラスト・エキサイト
国鉄宮原線廃隧道

taihei氏が地元の方に聞いた情報によると、

「宮原線跡を道路にする工事をしている。その先に隧道がある。」


行かない理由がない。




なるほど工事中だ。しかし今日は日曜日。現場は動いていない。
道路脇には無造作に排水管とおぼしきパイプや、さび付いた、…これレールやん!


現場は尾根に突き当たったところで終わっている。
その向こうに「あ、石垣が見えますね」。

積まれた土砂を乗り越えて一同感嘆。





あったーー!!

苔むした石垣にぽっかりと開いた穴。



しかも石垣に対して隧道が斜めになっているスラッシュ・カット。
エキサイティングだ。

もう入らずには居られない隧道野郎共。

工事がもう少し進んでいれば跡形もなくなっていたであろう隧道。

「我々が最後の通過者になるでしょう。」
勝手なことを言うてっく


入ってみると、さすが鉄道跡。すすけた壁が目に留まる。



少しの明かり区間をはさんで2連隧道になっていた。

まったく予備知識なしで来てるんでいちいち感激。



     ↑ちなみに今ここにいる。




ありゃ。こっちは金網フェンスで閉じられている。
ま、隙間から中の写真撮ってみよう。


「これぞ廃線」といった良い写真が取れたぞ。

と思っていたら誰だよ!金網通り抜けてんのは!↑




明かり区間にはなんとキロポストが残っていた。
「うおー!持って帰りて〜!」と言って引っこ抜こうとするのは
金網通り抜けのスペシャリスト。
彼はどうやら、いわゆる「鉄」のようだ。


こちらは1976年当時の空中写真。中央やや下で路線が二つの尾根を貫いているのがわかる。
taihei氏の調査によれば、上が第一吹上隧道、下が第二吹上隧道だそうだ。
中央やや右上の道路が大きくS字を描いているところが引治トンネル。



当初の予定にまったくなかった廃線をもって本日の探索は終了。

一日を思い返せば、初めて参加した合同探索とは思えないほど濃すぎる内容だった。


最後に現場にて記念撮影。
右よりtaihei氏、たれぞ〜氏、小さい生物を挟んでチョメ氏。

一日を総括し、「またやりましょう」とお互いに約束し現地解散。

そして僕は南へ、彼等は北へ、それぞれ帰途へついた。


帰路、阿蘇外輪山からの眺め。

仕事を無理やり休んで作った日曜日。とてもよい一日でした。


■ エピローグ ■

解散前のまったりとした雑談時間。それぞれ今日の充実感に浸っている。
そしてtaihei氏が僕に言う。
「早くサイト作らんと〜w」

彼らのサイトの掲示板で僕は「隧道サイト準備中」と宣言していた。
しかし実は準備はまったく出来ておらず、仕事の毎日だった。

既にサイトを持ち、探検を続ける彼らと一日を過ごし、僕は大きく刺激を受けた。

毎日仕事仕事で趣味に時間が割けないと言ってはいるが、
やろうとすれば今日みたいな一日が過ごせたじゃないか。



そしてちょうど一ヵ月後、僕は「この道をいけば→」のアップロードボタンを押した。




これからも良い探検を。


大分県玖珠郡探検隊 任務完了



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2008.5.16

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