国東半島巡り 安岐町3
走水観音隧道

※今回は普通のレポとは思わず、「管理人の日記」くらいの感覚で読んでください。

2008年8月2日正午、大分県国見町のアメダスは気温32.7℃を記録。
連日の真夏日だ。
各地の海水浴場はさぞ水着のお姉さまがたで賑わっていることだろう。

さて、一身上の都合で水着になれない僕は、国東半島中央部の山中に立っていた。


「うぉっちず」を眺めていると、たまにとんでもなく小さな隧道のマークがあったりする。
ここ国東半島中心部、仏の里総本山とも言うべき両子寺の近くにもあった。


国土地理院発行 2万5千分の1地形図「両子山」

走水観音と書かれた場所からほんの少しのトコにそれはある。

ちなみに走水観音の西側には「走水峠」と呼ばれる峠があり、
現在も県道およびその旧道計6本が入り乱れる。
過去より交通の要衝であり、さらに言えば「難所」。
とくに上の地図にも少しあるが、旧道区間は凄まじいカーブ多発地帯で
直線区間がないんじゃないかと思えるほど。運転手ですら酔いそう。

↓で、旧地図。

明治36年測量 大日本帝国陸地測量部発行五万分の一地形図「鶴川」

走水峠には一本の広い道路が走っており、昭和2年地形図では「縣道」扱いである。
この道路、現在は改修によりルートを少し南にずらして「県道29号 豊後高田国東線」となる。

そしてこの地図中に2つの隧道が見える。
1つは西側の走水峠直下、走水隧道だ。
現在は地形図に載っておらず、代わりに新たな「走水トンネル」が
改修された県道に2002年に建設されている。


で、問題は東側の走水観音隧道。
「うぉっちず」に残っているが、どうやらその先の道は廃道なのであろう。
いずれ調査せねば…

と思っていたら、「大分 県道の旅のjuncom氏、「tunnelweb」のtaihei氏が
最近相次いで現地のレポートを掲載された。

特にjuncom氏は廃道をたどり初代の走水隧道まで到達。

これは僕としても行かないわけにはいかない。
海水浴どころではない。出発だ。


■心折れる隧道■


ということでやってきました。旧制安岐町両子地区。
遠くに見えるのは「仏の里・修験道の里」という地域観光コンセプトを
コレでもかというくらい無視した県道29号改。


そして振り向けは両子寺である。
左写真の右奥が本来の参道であるが、車や大型バスは左の道で上の駐車場へ行き、本堂横付け

そしてその途中、左に入っていく狭い道路が現れる。今回はここが目的の道。
本堂はもう何回も行ってるんで今回はスルー。


「両子山七不思議」に数えられる走水観音。
「不滅不増の霊水」であるという。滅するのは困るが、増は良いのではないか?
ちなみに他の6つは知らない。


コレが明治36年地図に掲載され、現在も地形図に載っている道。
「なんだ、整備されてるじゃん」と思うなかれ、


程なくして走水観音到着。舗装道はここまで。

車を止めて歩く。
観音堂には先客がおられ、ご家族で涼まれていた。

「こんにちはー」と最大限の笑顔で挨拶する男は、
参拝するわけでもなく、ご家族の前を通りすぎると、

↓この道に消えていった。不審人物。


さて、見ればなかなかの道ではないか。
石畳であったような形跡もあり、いかにも昔の街道といった趣。

これは案外楽かも。



2秒後前言撤回。え…と、コレを渡って行けばいいのね?


と、

「ガサガサッ!」
「なんですか!?」

相変わらずこういう場所でのヘタレ具合は全開である。

「なんだ、ただのマムシか…」

いなくなるのを待って前に進むと、

足元に細長い青白いクリーチャーが…

「なんだ、今度はミミズか…」
ちなみに長さは30cm近くある。


「バサッ」「うぷっ!」

今度は蜘蛛の巣か…

前日、夜中にとある場所で蜘蛛の巣に引っかかり、あわてて顔を払った弾みに
メガネが飛んで、ツルの付け根でマブタを切ったくらいだ。慣れてる。


写真では涼しげな林道で、少し整備すれば軽トラくらいなら走れそうである。

しかし、常に僕の周りには何か小さな虫が飛び回り、足元の枯れ葉から
ガサガサ音がする。

この時点でかなり心が折れ気味。



と、道が消えた。

と思ったら右に曲がっている。

コレは来たな。


暗闇の気配プンプンで、


ドン!

走水観音隧道 両子側坑口
はしりみずかんのんずいどう 県道豊後高田国東線の前身
大分県国東市安岐町両子
竣工 明治36年より前 延長 未計測

画像処理で明るくしているが、現地はかなりの暗さだ。

こういう隧道に入るときはいつも神経が過敏になる。

ゴクリ…







「ピロロロロロロロロ」


「ビクッ!」
いきなり体が固まる。

友人からのメールだった。


「死ぬほどビビったわ!」
と、言いがかりに近い返信をして再び、



ゴクリ…






「ヴーーーーン」





「こんどはなn…」


「!!」


僕はそのまま来た道を小走りで戻り始めた。

そこに居たのは「スズメバチ」

ハニー・ビーなんてなまやさしいものじゃない「ホーネット」だ。
コレはヤバイ。



少し戻って振り返る。

追ってきてる!しかも2匹!!



次の瞬間、僕の速度は人生最速を記録した。
もちろん刺されれば痛いんだが、それ以上に、

「僕は既に過去1回刺されている!」

やばいんである。
お寺の近くでくたばるのも一興だが、あと100年くらい待って欲しい。


とにかく振り向かないように全速力を持って走る。
コレまでいた昆虫・爬虫類など完全にスルー。

このときの区間タイムを計っていれば、おそらく僕は
人類最速の男に決定していたであろう。
地球に生まれてよかったぁー!



さて、先ほどの走水観音まで戻ってきた。

笑顔で廃道に消えた男が、10分後に魔界でも見たかのような形相
駆け下ってきたんだから、さぞかし休憩中のご家族もびっくりしただろう。


車に戻って尋常ではない汗をぬぐいながらタバコに火をつける。


「え、これで終わりなの?その先の走水隧道は?」

次だよ次!来年!

行きたい人は↓辺りにあるから気をつけて行ってきて!
管理人はもう夏は動かない!






帰り道、ハンドルを握りながら考える。


「なんで2匹も追ってきたんだろう」

普段なら少し離れれば追ってこないんだが…

僕はあることを思い出した。

「スズメバチは黒いものに対して興奮する特性がある」




「…」


↓この日の僕の服装。























二匹で済んで良かったのかもしれない…



おわり

注:
今回管理人は、夏の山を歩く際にしてはいけない格好を全部してます。
まず半そでな上に、蝶野正洋氏をリスペクトしてるんだなオマエ的カラーリング。

実はこの日は探索をする予定ではなかったんでこんな格好で…

とにかくスズメバチがいてもなお隧道に突撃したい方は、長袖・帽子、
全体的に黒を避けた服装、できれば全身真っ白で顔まで隠した、
ドモ○ルン・リンクルを作っている方々のような格好で行ってください。
もちろん責任は持ちません。

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2008.8.3


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