2009GW 突発OFF in国東

1日目 その4
私を山浦隧道に連れてって

さて、平淵隧道まで来ているので、
既に我々は半島南部の杵築市にいる。

↓いまここ



この杵築市と国東市安岐町の境界にある峠。
名を「城ヶ谷峠」。
現在は一般県道405号成仏杵築線が通る。

この峠に隧道があったという。いや、僕は知らなかった。
僕が持っている古地図(明治35,昭26)には載っていなかったからだ。


昭和26年 地理調査所発行 五万分の一地形図「豊後杵築」

上図の青線が県道成仏杵築線の峠区間である。

ちょっと峠付近を拡大してみよう。


どうやら、峠そのものではなく、そこに行くまでにその隧道はあったらしい。
見つけた人が言うには、写真の赤囲みのあたりだ。



で、その見つけた人とは…






このナイス・ガイ。

ここでも登場、「大分 県道の旅」juncom氏である。

彼は昭和2年版の地形図からこの隧道を見つけ出し、
現地踏査にてその存在を確認。
ネットで全世界初公開を果たした。


昭和2年 大日本帝国陸地測量部発行 五万分の一地形図「豊後杵築」

少しわかりにくいが、隧道が見て取れる。
しかし、この隧道がある道路よりも、東側の道のほうが大きく書かれており、
当時はこちらが県道だったのではないだろうか?
ちなみにこの東側の道路の安岐側は現在は地図に載っていない。

とにかくこの隧道、明治36年の地図には載っておらずに、
昭和2年の地図で現れ、昭和26年までには新道によって廃道になったようだ。


で、とにかく我々は行ったことが無いので案内してくれ、という企画。

もちろん事前打ち合わせなんてしちゃいないコーディネーター。



ここは現県道、安岐ダムのすぐ近くから脇に入った農道。
ちなみに旧道ではない。




本来の道は右手の林の中に石垣とともに隠れている。
一番手前の人、さすが目ざとい。撮影態勢に入っている。



そして農道は尾根へ。 



尾根へ?




一見行き止まりに見えるが、
農道はこのあと、正面の林の中で旧道と合流する。

その旧道が、



コレ。


旧道。


車も走ってたらしいよ?

ちなみにこの狭さでぐにゃぐにゃと3連ヘアピンカーブとかありますけど…
何度もその辺をjuncom氏に確認するが、地元の方がそういっていたとのこと。

昭和初期の車はジムニーとかの四輪駆動が標準だったのだろうか。


そんな歴史は無い。


で、結構上ってきたところで、先行するメンバーから
「うわーーー!」との声が。

何事ですか?

近づいてみれば道をふさぐ大量の木。


なんだ、シイタケのホダ木ではないか。

短く切ったクヌギの木にドリルで穴を開けてコマ(菌床)を打ち込み、
上にこうやって枝とかをかぶせて乾きにくいようにして2年ほどこのままにする。

大分県は道路トンネルの数が日本一なのはよく知られているが、
実はシイタケの生産量も日本一なのだ。 


何もおかしいことは書いてないよな。



で、そのホダ木が積まれている先を見ると、


山浦隧道 安岐側坑口

「うわーーーーーー!」



始めてお目にかかります山浦隧道だが、
隧道に突っ込まんばかりに積まれているホダ木にどうしても目が行く。



さて、隧道自体は比較的広く、ジムニーくらいなら余裕で通れそうだ。
で、多分シイタケ農家さんによって、中もきれいにされている。


山浦隧道 杵築側坑口

明治から昭和初期に掘られた隧道としてはごく普通なんだけど、
こんなんが至る所にあるのがおかしい。

しかし、ホントこんな隧道、あとどんだけ隠れてるんだろうか。


「古い石碑とかあるかも知れん」と、いきなり尾根越えを始めるnagajis氏。
ちょっとついていこうとは思わない他6名。


で、

我々はひとつ気になっていることがあった。


それは、隧道の上にある穴である。
なんだこれ?

迎え掘り(※)の失敗にしては間違え方がダイナミック過ぎる。
いったい何の目的なのか?

もしくはここに大きな岩があって、それがポコッと取れたものなのか?
ま、ソレはない。そういう地質ではないのだ。


※迎え掘り:隧道を掘る際に、反対側からも掘り進んで工期を短縮する方法。
厳密な測量が必要になり、間違えると隧道が2本出来上がる。



「とりあえず行ってみよう。」


と、一般的には考え付かないことを考え付く2人。

青い人は先ほど尾根を越えてきて、そのまま、また登っている。



その穴は1m近く奥行きがあり、ちゃんと下は平場になっている。
周りの岩盤にはノミの跡があり、人為的に掘られたものには間違いない。


いったい何のためなんだろうか。

とりあえず、我々が出した仮説は、



こういう風に仏像でも置いてあったんじゃないだろうか?ってこと。

実際こんなのがトンネルの上に、しかも2体もあったら嫌だけどな。



見下ろしてやる。




そんなこんなで山浦隧道、初めて来て堪能いたしました。
juncomさんありがとう。


ちなみに昭和2年の地形図。
実は今回nagajis氏にお土産として大分の古地図のコピーを
ごっそり頂きました。ありがとうございます。
juncom氏と分けようと思ってたんですが、
ばたばたしてて全部持って帰っちゃいました。

junさん、今度ね。




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2009.6.16


掛樋隧道の上にあるもの
掛樋隧道の上にあるもの
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